自社で車両を持たなくても、他社の実運業者(緑ナンバー業者など)に下請け(庸車)で運送させるが、料金を荷主さんから受け取るような事業のことをいいます。
荷主側からすると、その利用運送業者に運んでもらっているつもりで依頼しますし、利用運送事業者も荷物が届くかどうかに対して責任を負うことになります。
昔の法律の関係で、「取り扱い事業」と呼ぶ方もまだ多いですね。
さらに古くからは「水屋(みずや)」ということもあります。
なぜか知らなかったのですが、「水道普及以前、水を売り歩く商人が、ついでに飛脚などへの荷物の取り次ぎ(集荷代理)を行っていたことに由来している。」(※出典元は輸送新聞社のロジスティックス辞典)
らしいです。
利用運送には、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業があります。
ややこしいのですが、できるだけ分かりやすく説明すると以下の通りです。
第一種利用運送事業:実際に運ぶ実運業者がトラック運送、船舶、航空などのうち一種類のみ(実際はトラックがほとんどですが・・)の事業
第二種利用運送事業:トラック以外にも船舶、飛行機、鉄道の運送も組み合わせて、集荷・配送を行なわせる事業
分かりにくいですね。以下に近畿運輸局HPの説明画像を貼り付けておきます。
利用運送の説明図
運送によく似たもので、運送取次業というものがありますが、これはコンビニで宅配便を受付けるような業務です。
何が違うかと言えば、荷物に対して運送されるまで責任を持つのが利用運送、荷物を受け付けたときだけ責任を持ち、運送に関しては責任を持たないのが運送取次業です。
運送取次業は届出などしなくても誰でもできます。
第一種利用運送事業の申請書を提出後2,3ヵ月後に登録されます。
登録後9万円の登録免許税が必要になります。
※現在一般貨物自動車運送事業許可を持っている方が第一種利用運送もするという場合は、届出だけで済みます。
もちろん登録免許税は不要になります。
第一種利用運送事業の要件とは
第一種利用運送事業の登録を受けるためには、次の3つの要件を満たしていなければなりません。
1.営業所
- 規模が適切なものであること
- 農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと
- 使用権原を有すること
2.財産的基礎
- 純資産300万円以上を所有していること
3.欠格事由に該当しないこと
次のいずれかに該当すると登録されません。
- 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 第1種貨物利用運送事業の登録又は第2種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
- 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
- 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに上記の3点のいずれかに該当する者のあるもの